ことのあらまし

日々のあらまし、いつか平気になるための記録

遠景を臨んで

5月4日。井戸川射子の詩集『遠景』喫茶ニトで読む。磨りガラスを介してまどろみを纏った陽が、薄橙の紙と添えた手指に重なって柔らかな暗がりをもたらす。光と影になりたいとよく思う。長いまばたきに憧れる。日常の定義から遠ざかり、音や形や色となった言葉たちが、左手の横で洗われている。