なあお、と鳴く声に起こされる朝にも慣れたものだ。隣家の瓦屋根をてしてしと黒猫が歩いている。窓越しに目が合う。
伸びた髪が仕事中も気になってしょうがなく、ひと段落したところで美容院に行った。ここ明るいですね、ハイライト入れました?と毎度指差されるひと束は、色が自然と抜けて金髪っぽくなっただけ。なのだけど都合よくアクセントになるからそのままにしている。1ヶ月前より景気よくはさみを入れてもらい、もみあげがすっきりした。眼鏡の座りがいい。
あたためたお粥に肉豆腐、それに実家から届いた梨を切って食べる。豊水という種類で実が大きく、3玉で冷蔵庫の一段がどんと占められた。たっぷりに水気を含む果物が盛られた皿が、ダイニングの中心でつやつやと光を放っている。母からの荷物には味噌と味噌こしと出汁パックも入っていた。おいしい味噌汁とおいしいお米があれば、手の込んだおかずがなくても、まぶしい食卓になるはず。