ことのあらまし

日々のあらまし、いつか平気になるための記録

2024/4/19

朝起きてから夜寝るまでの間に何も変わりがなかったかと言えばそんなことはなく、月曜の午前から金曜の夕方まで見ればその差は明らかで、だからなんにもできなかったとか、とことん使えないやつだとか、そんな気持ちに陥る必要なんて微塵もないはずなのに、…

2024/4/16

かなしいというよりは悔しくて、流れる雫にほおが濡れる。逃げ場とやり場のない感情を持て余している。朝方は大丈夫に思えていたけれどそんなこともなかった。頭痛がおさまらなくて休む。 地域の祭りでも開かれているのか、通りから囃子が聞こえる。初夏のよ…

2024/4/15

昼は鯖の味噌煮としめじと牛乳のパスタ。夕方にジムで入会の手続き。金髪に黒縁眼鏡の細身の店員さんが案内をしてくれた。春はキャンペーンが盛んな様子。せめて半年は続けたい。 外に出て車や人が行き交う通りを歩けば、ここにこうしていることの現実味を思…

2024/4/14

出かけるにはうってつけの陽気。自分への誕生日プレゼントにと眼鏡を新調するつもりで青山に出向いたが決め手に欠けて買わずじまい。そのまま表参道を抜けて原宿まで。いつにも増して人が多く、なるべく横道を選んでいたがうっかり竹下通りに踏み込んでしま…

2024/4/13

昼前までしっかりと寝る。爪を塗り直して外へ。バスで行くのは文字通り地に足が着いていていい。地上に近い乗り物ほど好ましく思う。今この瞬間どこを走っているのか、目で見てわかるのは身の丈に合う。 遅めのお昼に天麩羅バーガーを川辺のダイナーで。出汁…

2024/4/12

外に出ない日は着心地のよさを優先して楽な格好をしがちだが、モニターに映る自分の姿がよければ気分も上向くだろうと、気に入りの服を手に取る。誕生日だからといって普段と異なる一日に自然となるわけでもない。 昨日ほどではないにしても頭のもやは晴れて…

2024/4/11

昨日から頭がぼーっとする。風邪も疑ったが熱はない。こじらせるわけにはいかないから遅く出勤して早く退勤した。気晴らしにまだ明るい空の下を歩く。霊園の桜は散り始めていて、ベンチに腰掛けた膝に何枚も白い花弁が落ちる。がさりと音がして見上げると、…

2024/4/9

知り合いかも、とアプリに薦められたアカウントのアイコンにぽつと触れると、華やかな白衣装に包まれた新婦とその隣で背広を着てはにかむ新郎の姿が目に入った。半年前に撮られたらしい写真たちを軽く眺め、フォローはせずにホームに戻る。何杯も水を足して…

2024/4/8

髪が伸びて鬱陶しく、朝のうちに予約を取って夕刻に美容院へ。落ち着いたBGMが流れる色味の少ない空間の中、丁寧に施術をしてもらって穏やかになれた。気持ちが波立つことが多い。まだいろいろと不慣れだから。 いいからやれ、と思えてきていてまだいい。ヤ…

2024/4/7

今から会える?と言われて身支度の手を早める朝もたまにはいい。一歩踏み込んだ気さくさというか、人あたりのいい雑さというかがこの人にはあって、だから憎めないし、うらやましくも思う。夜勤明けのTと落ち合い、とり鉄で串をつまみながら近況を交換。 わ…

2024/4/6

東京国立近代美術館で『中平卓馬 火ー氾濫』を観る。 言葉ではこぼれ落ちるものを掬い取るため写真家に転身した元編集者という出自や、雑誌のコラムに載せたり同人の作品集をつくったりしていた頃の鮮烈な一枚一枚に引き込まれた一方で、アル中に倒れて記憶…

2024/4/5

これで最後なんです、と言いながら手渡されたグレープフルーツジュースのグラスを早々に飲み干した。こんなにノンアルを頼まれるとは想像していなかったということか。しかし金夜の飲み放題である。仕方なしにQRコードを読み取り、スマホに映したメニューを…

2024/4/3

土日を楽しみに待ち、押し殺すような気持ちで平日を耐え凌ぐ。そんな日々を送りたいわけじゃなかった。やりたいこともありたい状態もあって、それを得るための決断を重ねて今に至っているはずなのに、まだその実感を得られていないのは、まだその境地に近づ…

2024/4/2

短い時間の中で小手先の技術を用いてどうにかなる話ではない。深く広く張り巡らされた根にどこを掘ってもたどり着く。頭蓋を中から殴られているようだ。外を無心で歩く。駅の隣に延びる公園未満の空き地で子どもが声をあげて遊んでいる。 天気がいいのは幸い…

2024/4/1

頭痛がして少し横に。気晴らしを兼ねてスーパーまで買い出しに行き会計を済ませたところで突然の雨。帰れずに天を仰いでいたら在宅中の同居人が傘を携え迎えに来てくれた。 得意な土俵に、慣れたやり方に、持ち込めたら勝手が効くけれど、そこまでに手間取っ…

2024/3/31

朝6時にすっと目覚めて心地いい。昨日に引き続きの晴天をベランダから確認していそいそと洗濯機を回す。 友人の結婚式に向かう同居人を玄関で見送って読書にふける。真昼の陽気で部屋の隅まであたたかく、汗が滲むほど。網戸から吹き込むささやかな風を受け…

2024/3/30

予報通りに晴れた。たまりにたまった洗濯物のすべてを洗うにはベランダが足りず、適当に選り分けて残りは明日に回す。同居人は吉祥寺で手に入れたセットアップをたいそう気に入ったようで、朝食を食べに駅前を歩く道すがら、ガラスに反射する己の姿を何度も…

2024/3/29

腹痛で目覚める。すっかりぬるくなった湯をコップに注いで錠剤を喉に流す。3月の平日も今日で最後。これで試用期間は終わり。なんにも言われなかったということは問題がなかったということだから、転職したってやっと胸を張って言える。 ナスがふと食べたく…

2024/3/28

できない自分を真正面から見つめるのを恐れていそう、と言われ、この人は私をよく見ているな、ほんの3ヶ月で、と思う。本棚の中でくたびれていた太宰治『人間失格』を手に取る。カビが生えそうなほど湿気を含んだ文に、頬を撫ぜられる心地がした。 www.shinc…

2024/3/27

濡れた髪を乾かす間に目をつぶる。紐を縒るみたいにして今朝の夢の手触りを思い返す。とっくに過去形になった人間が今更立ち現れるはずがないのに。そのうえ都合よく奪い合うのだから。さすがに笑ってしまう。 真っ白なミルクを注ぎ入れられた紅茶みたいに、…

2024/3/26

上着をはおれば暑く脱ぐと寒い雨の室内。どうでもいい問題に悩まされていることを癪だと思い始められたら勝ちだ。勝ちも負けもないはずだがそれはそうとして気持ちの話。歩ける道はこの一本だけだと決めつけられているうちに他の道があることに気づけなくな…

2024/3/25

サバの切り身と梅干しを炊き込んだごはんを茶碗に盛って、細切りの大葉と炒りごまをふわりとかける。少し焦げついたかぼちゃの煮物を小皿に移し、じっくりと味わうように口を動かす。何をしても心の足取りが重たかったけれど多少は。たっぷりためた湯船に肩…

2024/3/24

小鍋を傾ける手元が狂ってテーブルから椅子の上のクッションまでどろりとした白濁の砂糖液で濡らす。まばたきひとつせず壁を見つめて菩薩のように薄く笑う、よく知った人の横顔が目に焼き付く。また間に合わない夢を見た。 カリカリになるまで炒めた細切りの…

2024/3/23

雨が止むのを待って外へ。もう夕方に差し掛かっているからか、商店街の人だかりはいつもの週末ほどではなく、メンチカツ屋に並ぶ列も4、5人におさまっている。この調子ならあそこも静かだろうと見越して向かった喫茶は予想通りの貸切で、チャイと苺大福をい…

2024/3/22

元日付けで入社したこの会社に在籍してそろそろ3ヶ月。オープンスペースのハイチェアに座って10名ちょっとでピザを囲む。酔って電車に乗りたくなくてお茶やジュースで喉を潤し、シラフで同期と言葉を交わした。自然と話題の中心に立ち、そこにいるだけで場を…

2024/3/21

この家は春一番が吹いたって音を立てて軋むから、地震なのかそうでないのかパッと判別がつけがたい。肌が粟立つような警報がスマホから鳴り響いて、やはり揺れていたかと理性的に理解する。即座に窓に手を伸ばし、バンと開け放ったらガス栓を閉めにキッチン…

2024/3/20

守られた場所で静かに読書にふけりたかったが目当ての喫茶には入れず。気圧とともに下り坂を転げ落ちていく精神をどうやって掬い上げればいいのかわからず途方に暮れる。同居人の提案により駅ナカの洋菓子屋で奮発したいちごのレアチーズタルトがおいしいの…

2024/3/19

言われたことをして、やるべきことをやり、間に合いそうにないけど間に合わせるためにどうにかこうにか。真面目だと思う。真面目すぎるきらいもある。会議がつづいて余裕がない。しかし天気は抜群にいい。息継ぎをする心地で予定と予定の合間を縫うように外…

2024/3/18

風が強い。ハンガーが大きく揺れて物干し竿にぶつかる音がベランダから響いてきて不穏。ガツンガツンと鳴るたび様子を覗いてまたリビングに戻る。今日も在宅勤務。 こんなにも天気がいいのに家にいながら画面を見つづけているだなんて。そう気づいたはいいも…

2024/3/17

春服を物色しようと高円寺へ。昼食後の飲み物を求めてキタコレビルに向かう。ビニールでできた暖簾をくぐると2畳に満たない手狭なカウンターにオレンジ色のパーマの女性をみとめた。 マサラチャイを頼む間、吹き抜けを見上げる。時刻は12時過ぎ。工事現場じ…