ことのあらまし

日々のあらまし、いつか平気になるための記録

2024/4/6

東京国立近代美術館『中平卓馬 火ー氾濫』を観る。

言葉ではこぼれ落ちるものを掬い取るため写真家に転身した元編集者という出自や、雑誌のコラムに載せたり同人の作品集をつくったりしていた頃の鮮烈な一枚一枚に引き込まれた一方で、アル中に倒れて記憶が欠けたあとの晩年の作品は思ったよりも凡庸に見えたことを、気圧にやられて重たい頭を歯車でも回すみたいにじりじりと動かしながら神保町のレコード喫茶で話す。

通りの桜には青葉が増え、白と緑の相混じる様は大きな花束のようにも見えた。言うに憚られる夢を見た今朝の嘆息が、まだ喉元に沈んでいる。