ことのあらまし

日々のあらまし、いつか平気になるための記録

2023/11/23

行きの電車が全席指定の特急だとは知らず、あわや飛行機を逃すところだった。1本あとの便でも搭乗には間に合う段取りだったのが幸い。無事に乗り込んだPeachの座席に背を預けて息をつく。3時間半後には沖縄に降り立っている。

島をぐるりと迂回するようにして着陸した機体から出ると、南国の花が両脇に添えられた渡し廊下が出迎えてくれた。雲ひとつない青が大きな窓から見える景観の上半分をぱっきりと染めている。

バスに乗って那覇市へ。県庁の近くで降りてホテルまで向かいがてら散策。この地域は道路や建物が軒並み白い。炎天に焼かれて熱くならないように、ということなのだろう。お昼に道中のハンバーガー屋でブルーチーズとマッシュルームのバーガーを頼む。カウンターの背中にぎっしり並べられたウイスキーが、店内を満たすジャズの音色に磨かれて、つやつやときらめいていた。

おなかを満たしたところで浜辺まで歩く。若葉のような緑を抱きかかえてさざなみを立てる薄青が、半円状の防波堤に囲われた砂浜の淵から目にできた。真上に渡るバイパスから水面に何度も飛び降りる若い男性3人組をひやひやしながら眺めていたら、通りすがりのおじさんが「あれは下手すりゃ死んじまうよ、足からちゃんと落ちなくちゃね」と隣でぼやいた。今は満潮だからギリギリ大丈夫らしい。

向かいのカフェで買ったレモネードソーダを飲み、波のすぐそばまで寄って、指先を濡らす。引いては返す透明が爪先で白く泡立っている。そういえば数年前の社員旅行で来たことがある場所だと、唐突に思い出した。

公園でねこと戯れてホテルにチェックイン。寝足りていないうえに太陽の下を歩いてくたびれた体をふかふかのベッドに預ける。昼寝から目覚めてもまだ夕方に差し掛かったところで、10階から見渡せる街並みは橙のカーテンが降ろされたように色付いていた。

夕飯を食べに国際通りへ。海ぶどうももずくの天ぷらも滋味深くておいしい。オリオンビールはもっとカラッと暑い真夏に飲むと、より染み渡りそう。