ことのあらまし

日々のあらまし、いつか平気になるための記録

ミルクを延ばすように

8月1日。不定期にやっているティラミスが有名な喫茶店にダメ元で向かったけれど今日は夜からの営業だった。その時間にはもう新幹線に乗っていないといけなかったから諦めて近くの別のカフェに向かう。住宅地の隙間にぽんと姿を現したそれは倉庫を改装したお店らしく、扉を開けた途端こーんと音が響きそうなほど高い天井に迎え入れられたら空調の涼しさも相まってふっと気が抜けた。

モルタルで固められた薄鼠色の足元はさっきまで踏みしめていた群青のコンクリより心なしか受け入れやすい色をして見える。奥のソファに腰掛けてチャイを啜りながら本を読み進めた。正面の窓から差し込む光が真っ直ぐにテーブルまで伸びてカップの縁を撫ぜている。展示の手伝いやら仕事やらで存外慌ただしい5泊6日だったけれど、最終日にゆったりとした時間を過ごすことができてよかった。いつまでもいられるくらい居心地のいい場所だった。

新幹線の中で日記を書く。体調はどうしても低空飛行だ。きっと夏バテなんだろう。外を歩けばうだるような暑さで、かといって屋内にいてもじわじわと体が冷えていく。どこにいたってそこにいるだけでくたびれてしまう。帰ったらしっかり首まで湯につかろう。最寄り駅に降り立って見た月は焼きたてのホットケーキみたいに丸かった。