ことのあらまし

日々のあらまし、いつか平気になるための記録

2023/9/16

週明けからの展示に向けた追い込みのため同居人の友人2人がやってきており、家の中がにぎやかだ。買い出しに行く彼らを駅前で見送り、ここらへんで一番大きい図書館に向かう。

PCの使用が禁じられている自習室では、当然ながら誰もが参考書や筆記用具を携えて各々の手仕事に没頭しており、少しどきりとした。作業部屋に電子端末が無いことは見慣れないし、ペンを握る手の感触にも都度違和感を覚える。もうそういう人間になっている。

冷房にあてられた体をゆるませようとテラスに出ると、淹れたての紅茶みたいに明るく澄んだオレンジが、空の底から湧き上がってくる最中だった。生ぬるい外気を身に受けて自分の縁取りを取り戻しながら、まっすぐ南東にそびえるスカイツリーを眺める。

5階建てともなるとさすがに視界が開けていて、目に映るどの建物よりも抜きん出てその青白く光る電波塔の背丈が高いことがよくわかった。視線を真下に落とすと、赤錆のようなものにほとんど覆われて地の色の識別が怪しくなっている、路面電車のホームの屋根が見えた。