わっしわっしと頭を掴んで揺らされているようなめまいを覚えながらよろよろとスーパーへ。痛み止めなら飲んだからもうちょっと我慢すれば痛みもふらつきも幾分マシになるだろう。しかし家にじっとしていると天井が目の前まで迫り落ちてくるようで息が詰まるから、屋根が高くて明るいところをぶらつきたかった。
ぷうぷう鳴るおもちゃみたいに軽い音のJ-POPが流れる店内をぐるりと見て回り、一房400円のシャインマスカットを手のひらに抱えて帰途につく。東京で果物がこんなに安く買えるのが信じられない。本当に暴落しているんだなと実感する。
受け止めてほしいと求めてくる相手を受け止めることは義務で、それができないならば優しくないし大人でもないのだと言われるのは、どうにも不寛容に思える。という話を聞きながら、話し手の感覚も、その相手の気持ちも、どっちもわかる気がした。ただ言えるのは、期待や要求が噛み合わずどちらか一方が我慢している間柄は長続きしないということ。少なくとも私はもう、誰も彼もを受け止めることはできない。
