先日買ったイヤホンの調子がいい。ゴールドの見た目が華やかなおかげでアクセサリーの代わりにすらなる。最近ピアス穴の具合がわるくてあまり着けられずにいたから顔まわりに煌びやかさが足されるのはありがたい。傷がつかないようにそっと取り外していると本当にジュエリーのように思えてくる。
大切にしたいものを携えていると振る舞いの端々に少しの余白が含まれるようになる。慌ただしく動けば落としたり壊したりしかねないから指の先にまで気持ちを傾けて触れる。そうやって小さなものに向き合うための心があることに気づけると、また安心する。
カウンター席でドーナツを片手に、積もる話の山をひとつずつ崩していった。網の目から落ちるように、コップの淵から溢れるように、取りこぼされる存在を見て見ぬ振りすることなく、そっと近寄っては手を伸ばす。そんなあなたがいてくれてよかったと、言われてうれしかった。
