ことのあらまし

日々のあらまし、いつか平気になるための記録

境目に立つ

6月25日。部屋の照明が次々に点かなくなっていっている。もう1週間ほどで引っ越しだし我慢するかとも思ったが、さすがに玄関も台所も脱衣所も暗いと生活に支障が出る。管理会社に連絡して見てもらったところその場ですぐに直すことができない不具合のようで、修理は日を改めることに。薄闇の中で暮らしていると貧しい気持ちになってくる。退去までに明かりが戻るといいのだけれど。

3年と少しを過ごしたこの街を出歩くことも減るんだな、とちょっと感慨深くなりながら隣駅まで散歩する。ちんまりとした公園ではリードに繋がれた猫が散歩をしていた。白くてふわふわとした毛が風になびいてこまかな影を地面に落としている。橋の下を流れる川には鴨が5、6羽泳いでいた。身震いや啄みに合わせて水面がちらちら揺れている。

光の重なりを目にすると、水のざわめきを耳にすると、無意識に凝り固まっていた体のこわばりがほぐれていく。次の住処の近くには大きな公園があるらしい。自分をやわらかくする場所を見つけながら、渡り歩いていく。