ことのあらまし

日々のあらまし、いつか平気になるための記録

それはそれで喜劇で

6月26日。これさえ成せば、あれさえ越えれば、と意気込んで言い聞かせて歯を食いしばったり覚悟を決めたりしているけれど、一歩前に出ればあとは勝手に進んでいくってわけでもなく、身を置いているここはエスカレーターではなく階段だったと思い出す。

『NEEDY GIRL OVER DOSE RUN WITH MY SICK』第5話を読む。盆ノ木至は、地に足が着いた残酷を冷徹に物語に持ち込むのが上手い。『吸血鬼すぐ死ぬ』といい本作といい、彼の原作には、小さな選択を誤りつづけた結果に起こり得るじゅうぶんな悲劇がたびたび折り込まれている印象がある。

そういった悲惨には、交通事故で大怪我を負うような突飛な悲劇よりも現実味があって、個人的にはとても好ましい。登場人物に感情移入していればいるほど、あのときああしていればと後悔が募るし、何も知らなかった頃の能天気さを思い返して恥ずかしくもなる。

ギャグとシリアスは付かず離れずな距離にいるんだろう。テンポのいいネタにひとしきり口元を緩めたあとにふと考える。たやすく深刻になりうる日々を、しょうもない笑いがきっと救っている。

mangacross.jp