ことのあらまし

日々のあらまし、いつか平気になるための記録

2023/11/1

きみはちゃんとしているね。そこがいいところだよ。そう言われてほんの一瞬、押し黙ってしまった。

足蹴にされても、見向きもされなくても、これが正しいはずだと、これだけは譲れないと、信じて握りしめてきたものが、ようやく報われた瞬間だった。その割にはあっさりとした場面の訪れに拍子抜けして、なんと返せばいいかわからず、つい口を噤んでしまった。

生き様に対して拍手を送るかのような言葉を、いろんな人からいくつも受け取った。かつて目も当てられないほどの失態を侵した私でさえ、今はこうやって両の足ですっくと立って胸を張り、賞賛さえ得られているのだから、人は立ち直れるものだと感心する。私自身の苦労や努力があってこそだと他人は言うだろうが、見捨てず見放さず見守りつづけてくれる人がいなければ、ここまで来れたわけがなかった。

なすとひき肉を甘辛く炒め、かぼちゃの煮物と一緒に食卓に並べる。記憶の中にあるそれは熟れきった柿みたいに深い橙色をしていたはずなのに、どうにも色が濃くならず甘みも物足りない。うーんとレシピを思い返していたら、仕事が長引いたという同居人が布団に飛び込むかのような勢いでふかふかの白米をかき込んでいて、ちょっと笑った。