ことのあらまし

日々のあらまし、いつか平気になるための記録

2024/2/13

38度7分。絵に描いたようにうなされて数時間おきに目が覚めた。汗が湧き出て頭が揺れる。ちょっと歩くにもフラつくから階段の上り下りすら恐る恐るだ。これは横になっているだけでは治りが遅そうだと内科に行けば、移動式の換気扇のような機械を引き連れ全身を防護服で固めた先生が現れ、ああそうか、風邪ではなくその疑いがあったか、と今まで思い至らなかったことに申し訳ないような恥ずかしいような、肩身が狭くなる気持ちを抱いた。

検査の結果はインフルエンザが陰性のコロナは陽性。え、と思わず声が出て、しかし淡々と説明をつづける先生の話を聞くうちに動揺の波は徐々に引き、ほどほど冷静になっていく。これからどう過ごすべきか、どんな薬をどれだけ出すのか、テキパキと伝えられる内容を理解しようと努めたが、ごうごうと飛沫を余さず吸い込む換気マシーンの音にかき消され、熱を帯びた頭で聞き取るのには苦労した。5日は他者との接触を避けるように、というのが要点。3種類の処方箋をいただいて診察室の中で会計を済ませる。スリッパは棚に戻さず玄関に脱いだままにしておいてください、と言われ、その通りにする。

ワンルームに住んでいなくてよかった。1階の和室を隔離部屋にすることとして、着替えや飲食品などの必要なものを持ち込み、布団を押入れから引きずり出す。同居人にもすぐに連絡をして病院に行ってもらったが、症状が出ておらず様子見になったらしい。いつ感染していたっておかしくはないのだけれど、もしかからずに済んでいるならぜひともやり過ごしたいところ。

冷えないように湯たんぽを抱いて寝る。しばらくはあたたかい日がつづくらしいのがまだ救い。