ことのあらまし

日々のあらまし、いつか平気になるための記録

2024/2/12

以前見かけたときに絶対似合うと言われたベージュのぽってりとしたスニーカーはもう一度目にしてもやはりかわいく、軽く試し履きをしたうえですんなりと購入を決めた。シンプルなスウェットとデニムのパンツ、ボリュームのある足元に赤や黄の靴下、ぱっきりとしたオレンジのアイシャドウに金のアクセ、という装いを実現したくてうずうずとし、その夢を果たすため有楽町まで来た次第。

ものに溢れた都会で惜しげもなくお金を使い真新しくピカピカしたものを手に入れて抱く高揚感はそれはそれで人生を潤わせてくれる。こればかりの日々だといつかつかれそうだが全くないのも味気がない。心から気に入るものだけで身を包んでいたいというのが目的であって、それを得るための手段としてお金があるだけだから、別にわるいことをしているわけでもない。

他のお店も見て回っていたら薄墨のような黒色をしたナイロン生地のブルゾンに胸を射抜かれて手放せず、これは運命だと迎え入れることに。数万円が立て続けに旅立つことへの喪失を上回って有り余るほどの納得を覚える出会いだ。隣で同居人が私以上に興奮していたのも背中を押す一因になった。似合うね、いいよ、との言葉を他人からもらうことで、決断までのもうあと一歩が乗り越えられる。

このままボトムも探したかったが近くにめぼしいお店はなさそう。ちょうどお腹も空いてきたので参宮橋に場所を移すことに。1階はコンクリートに囲まれた無機質な居酒屋、2階はアパレルショップになっているそのお店で遅めの昼食をとった。イチオシと噂のだし巻きライムたまごを頼み、せっかくだからとIPAも傾けつつ、そばを啜る。満ちた胃とほこほこの頭で、同居人が何度も試着を重ねる様子を眺めた。

私に合うものはあいにくなかったが、同居人は狙っていたパンツとシャツとサコッシュのすべてを迎え入れていた。ほしいものを手にするため勢いよく財布を薄くしていく人を見るのは楽しい。満足して帰る。歩きつかれたのか頭がぼーっとする。のど飴を舐めて早く寝る。