ことのあらまし

日々のあらまし、いつか平気になるための記録

蔦が這う

7月9日。飾りの入った磨りガラス越しに差し込む光で目覚める。草木に覆われた隣家の瓦屋根がきらきらと照らされている。鳥たちのちゅんちゅんと軽快にさえずる声が耳に届く。陽の光や鳥の鳴き声で朝を迎えるようになるとまでは期待していなかったけれど、目覚ましよりよっぽど自然にベッドから起き上がることができていてうれしい。

甘いものを体に入れたくてタピオカ屋でマンゴースムージーを買う。それを飲みながら家で作業。アジア系の飲食店がいくつも並ぶこの近辺では日本語じゃない言葉をよく聞く。人にしろ家にしろ店にしろ、この街のごたごたとしている様子は、色も形も様々な石ころをがらがらと詰めたビニール袋みたいだ、と思う。

中は窮屈で、でも水くらいを入れる余裕はあり、口が縛られてないから息はできて、ただ分厚くはないからうっかり破れないかとも気を遣う。境目は半透明で、わかたれた互いをまっすぐに見つめることは難しい。閉塞的に押し合い圧し合いしている。だからといって逃げ場がないわけでも鬱屈としているわけでもない。アルコールと油でベタついた都市。そうだとわかって愉しく選んでいる。