文学フリマ
10分ちょっとだとしてもぺこぺこにおなかが空いた状態で土砂降りの中を歩くのは億劫だな、と身構えていたが、家を出る頃にはさっきまで窓を激しく打ち付けていた雨はほとんどやんでいて、強張っていた肩の力が少し抜ける。 はじめて行った駅前の病院での診察…
眠たい目をこすって家を出る。ぴいと吹く風にほおを冷たくはたかれる。カイロを持ってきてよかった。コートのポケットの中で温もりを握りしめる。 モノレールに乗って東京流通センターへ。台車に乗せた段ボールの端があちこちにぶつからないよう気をつけなが…
昨夜から脳裏を片時も離れないほど気が気でなかった案件を起きて早々に片付けることができたからもう今日は上がりの気分。とはいえすべてがすっきり終わったわけではなく一連の手順のうちの冒頭をかいくぐれただけに過ぎない。つまりまだ続きならある。とい…
5月21日。洗濯機の振動をBGMに宮沢賢治『銀河鉄道の夜』を読み終える。 文豪と呼ばれるに値する人たちの作品を読むと、こんなにもみずみずしく血潮の音が聞こえんばかりの言葉を生む人がいるのかと驚いてしまう。澄んだ紺碧の星空と、ざわめきに揺れる黒い水…