5月21日。洗濯機の振動をBGMに宮沢賢治『銀河鉄道の夜』を読み終える。
文豪と呼ばれるに値する人たちの作品を読むと、こんなにもみずみずしく血潮の音が聞こえんばかりの言葉を生む人がいるのかと驚いてしまう。澄んだ紺碧の星空と、ざわめきに揺れる黒い水面が、まぶたの裏に浮かんだ。
モノレールに乗り文学フリマ東京36へ。想像の倍くらいに人もブースも多く、活気に溢れていてドキドキとする。それぞれが文学だと信じる自前の一冊が熱を含んで並びあつまっている様に圧倒されながら、どんな出会いが待ち受けているのだろうと期待に胸をふくらませ、会場をひたすらに巡る。
買った本は5冊。ひらいめぐみさんの『踊るように寝て、眠るように食べる』『おいしいが聞こえる』、山本大樹さんの『ときめき生活日記』、トハナニカ書房の『凡凡』、俺たちの裸ヂオの『Magazine Nude vol.I』。やはり丁寧な装丁の日記やエッセイを手に取る傾向にある。
トハナニカ書房および俺たちの裸ヂオは知りあいが出店しているグループで、少し立ち話をした。友人Yはすっかり髪が伸びて、ますます自由業らしい風貌になっていた。
戦利品に満ちたリュックが肩に食い込む。11月の文学フリマ東京37には出店者として参加するつもりだ。私の一冊が今度は誰かのうれしい悲鳴の呼び水になるんだろうか。そうなるようなものを手掛けたい。たとえ文豪には及ばずとも。