ことのあらまし

日々のあらまし、いつか平気になるための記録

2023/12/23

年内に処分したかった粗大ゴミがもれなく回収されて気がかりがまたひとつ減る。新しくつくった共同口座にプリペイドカードを紐づけるなどしているうちに解放感に包まれた同居人が和室から上がってきた。1週間ほど続いていた慌ただしい制作期間にいったんの区切りがついたとのことで近くの町中華で軽く打ち上げをすることに。熱々の餃子の肉汁を小麦色に輝くサッポロ黒ラベルで流し込み、チャーシュー麺をすすって息をつく。安堵の温度を全身から湧き上がらせるその様を前にしながら、天津麺のたまごの部分を箸で割いた。

ふるさと納税の返礼品が続々と届く。冷凍室にホタテを仕舞うため、毛蟹をバットに乗せて冷蔵庫に移す。甲羅を下にして解凍してください、との説明に従って薄い氷の膜に包まれた蟹をひっくり返そうとしたら、時間と時間の隙間に落っこちたような色の眼球と目が合い、少し後ろめたさを感じた。やっと思う存分ねむれる、とベッドに勢いよく背中を預けた同居人は、ホテル顔負けに真っ白にふかふかな枕に頭をうずめて、穏やかな笑みを浮かべている。

昼寝から目覚めてコーヒーを飲んだり本を読んだりキッチンばさみや4合瓶を買ったりしているうちにもう晩ご飯の時間で、おおむね柔らかくなった蟹の腕をもいで中身を剥き出しむしゃむしゃと食べた。丸々一杯の蟹を食べたこと自体がこれまで一度もない気がして、味のよしあしをわかることができているのかちょっと不安だったが、私よりはいくらか海鮮と親しく生きてきたであろう同居人が目を輝かせていたからやっぱりおいしいのだろう。特に脚の付け根と甲羅の内側の身が引き締まっていてよかった。

実家からもらった地ビールや燗につけた日本酒を飲みつつ蟹味噌まで吸い上げて満ち足りるほど満ちた。ぽぽぽと赤く染まった頬と体中から匂い立つ潮の香りを落ち着かせるため白湯を飲んで休む。もうしばらくは蟹はいい。