ことのあらまし

日々のあらまし、いつか平気になるための記録

2024/1/14

朝食を食べながら天気と気圧の予報を見て、急降下していく赤い折れ線グラフと光る爆弾マークに辟易とする。まだ元気なうちに何か楽しい出来事を自分にもたらしておくことで、迫り来るしんどさをどうにか中和できないか。そう考え、えいやっとコートを羽織った。向かうは銀座三越。スコーンパーティーなる催事が開かれていると聞いて気になっていた。黄金色に光る小麦粉とバターの塊たちに香りごと包まれたら、きっとなんとかなる。

そうすがるような期待を抱いてスタッフさんから番号札を受け取ると、すでに400組ほど前に並んでいることがわかり、そんなに人気なイベントだとは知らず目を丸くした。呼び出されるまであたりを散策することに。銀座は一時期の通勤先だったから馴染みがあり、懐かしい気持ちで街並みを眺めながら歩いた。と言っても当時はオフィスと地下鉄の間の行き来がもっぱらで、食事をするのもほとんど決まった店ばかりではあったけれど。松屋を覗いて服やらコスメやらを見て、テラスで本を読んでいるうちに2時間近くが経ち、やっと入場。

9階から待機列を組んで7階の会場までエスカレーターを降りると、焼き菓子の甘い香りが血管の中まで入り込む勢いで体の隅々に行き渡り、胸がグッと抑えられるようなときめきを覚えた。焼き立てを補充されてさらに積み上がっていく、ころころツヤツヤとした宝の山を前にすると、そんなにたくさんは食べきれないとわかりながらも財布の紐がどんどん緩くなる。それでも7個買って2800円ちょっとなのだから、得られた多幸感に比べればたいして痛くない出費だった。まだ温もりがほんのりと感じられる手提げ袋をかさかさと揺らして、電車に乗る。

秋葉原で同居人と落ち合い、デスクライトを見繕って遅めの昼食を食べ、帰宅したところで気圧の支配が追いついてしまい、そこからはもうダメだった。仮眠を取ったあとに銭湯に行って回復できればとも思ったが、移動も叶わないほどキツくて断念。でも這うようにして風呂に入り、テーブルに並ぶたくさんの紙袋を眺めながら飲んだチャイのおかげで、今日も丸印だと思えた。