ことのあらまし

日々のあらまし、いつか平気になるための記録

2024/3/2

ステッチが白くて生地のやわらかい、色が濃くて太めのストレートデニムを探して祐天寺から代官山まで服屋を見て歩いたが、理想のものには出会えず。DIGAWELで羽織らせてもらったベージュのフーディーと、ハンバーガー屋とライブハウスの間にあるセレクトショップで試した濃紺のベイカーパンツにも、心惹かれたけれど即決とまではいかなかった。パリッとした硬めの生地と相性がいい実感は、だいぶ強固になってきた。

蔵前に移動してsyuroへ。気になっていたレインブーツは驚くほどやわらかく、皮膚みたいに肌に馴染んだ。しかし丈が長くてこれも見送りに。近くに最近できたらしい古道具屋の床を埋める棚たちは、口の中でゆっくり転がした飴玉みたいにとろりと丸まった色味をしていた。帰りのスポーツ用品店で手に取ったスニーカーには、鮮やかな黄のラインが走っている。どうやら春を待ち侘びている。

炭酸泉が混み合っていたから椅子にもたれて外気を浴びながら目をつぶった。しばらく首や肩をほぐしてまた湯船に浸かる。体が温められていくとき、音なんかしないはずなのに内側からしゅわしゅわこくこくふつふつと小さく囁く声が聞こえてきそうで、耳をすませる。よろこび、ほどけ、溶けていく何かが、そこにあるような気がする。

後回しにしていたことに思いを馳せ、勢いづいて袋に詰めたり太刀を入れたりするような頭の中での手作業を、湯船の、特に銭湯の中ではよくやる。左人差し指の欠けていた爪がやっと伸びて、絆創膏生活からは卒業。