ことのあらまし

日々のあらまし、いつか平気になるための記録

2024/2/23

イエベ春の骨格ナチュラル、顔タイプはアクティブキュート。鮮やかな色味がお得意です。シンプルなスタイリングだと物足りなくなりやすいので、足元やアクセサリーにボリュームを取り入れましょう。ブランドでしたらこちらやこちらがお似合いかと。

サーモンオレンジに広く縁取られた目を艶めかせて、サロンのお姉さんはテキパキと話す。友人のYと2人で受けたイメージコンサルは4時間のぶっ通しで、カラフルなケープを次々にかざされたり、ずらっと並んだ化粧品からあれこれ選んだりするだけでもけっこうな体力を要した。それでも受けた甲斐はあった。

明るい色が似合うとは薄々勘付いていた。しかし勇気がもてていなかった。絵の具のチューブから出したままのような目の覚める色を身に纏って、満開の春の花束みたいにぴかぴかと輝く幸せオーラを表情に浮かべている自分に、いまひとつ確信を抱けずにいた。でも今日、熟れた柿のようにまっとうにまっすぐな橙を、試しにとまぶたに乗せてもらったとき、本当にパッと顔が明るくなって、これが私の色なんだと、やっと納得がいった。

自分の容姿を愛せずにいるのは、晴れやかな見なりでスキップできずにいるのは、かつて投げかけられた心無い言葉にいまだ足首を握られているから。だけど今なら蹴り上げられる。引き込もうとする手を払い、呪いを解くそのためだけに、費やす3万は惜しくない。

Yのパートナーと合流して3人で夕飯。転職先には半年経ってもまだ慣れない、との話を聞いて、少し気を楽にする。帰り道、酔って機嫌をよくしたYが、ビニール傘を片手に横断歩道を跳ねているのを見つめた。雨はやんで、濡れた新宿がシンクの底みたいだった。