ことのあらまし

日々のあらまし、いつか平気になるための記録

2024/1/2

38度前後をうろつく熱に頭痛と鼻水、倦怠感。この体調で飛行機と電車を乗り継いで4時間ばかり移動することを考えると億劫で仕方がない。でも飛行機は予定通り飛ぶことになったし、明後日には転職先での仕事初めを迎えるし、実家には私と入れ違いに兄夫婦が甥と姪を連れてくる。無理にでも帰ってしまうのがいいだろう。

大幅に改築された空港の搭乗前のフロアは都会的に整えられていた。ガラス張りの扉を抜けると艶やかな色味の柱に支えられた高い天井が迎えてくれる。こんなに小綺麗なのに土産屋の商品やイートインの選択肢が豚骨ラーメンとかさつまいもの饅頭とかなのがちょっとおかしいけれど、地方都市なりにがんばっていることを思えば愛らしくも見えてくる。

鼻を拭うのに忙しくて寝ることもできず、機内では痛む頭に耐えながらずっと本を読んでいた。ふらふらな体でロビーのソファに座り込み、これからもう1時間ほど電車に乗るのかとため息をついていたら同居人と母からLINE。あなたが降りたのは成田で合っているか。羽田で飛行機が燃えている。おそるおそるニュースサイトの動画を開いて、とんだ年始だとまた息を吐く。

お手洗いに指輪を忘れたことに電車に乗って4、5駅過ぎてから気づいた。容赦なくひどくなっていくこの体調で取りに戻ったらもう空港から出られなくなる気がして、遺失物センターにメールを送るに留める。ものの一つや二つなくしたとて体だけでも家に連れて帰りたい。それすら叶うか不安な心が、思い出したくもない悲しい記憶や恐れる気持ちを呼び起こして、胸がじりじりと潰される。最寄り駅に着く直前には涙が頬を伝っていて、とんだ年始だと目を抑える。

改札で同居人と合流してなんとか帰宅。呻きながら荷解きをして、風呂でしっかりと体を温め、着込めるだけ着込んで寝る。